- 文系から理系に転じた高校生
- 別の理系大学に入りなおしたい大学生
- 医学部に入りなおしたい社会人
- 数Ⅲを独学でマスターしたい人
数Ⅲを独学するなら,教科書・問題集は順番にやるな!
「文系だったけれど,途中で理系に変更したい!」
そういう高校生は多くなりました。また,大学へ進学したものの,医学部など別の学部に入りなおしたいという人も増えています。
そんな人が困ってしまうのが数Ⅲです。数Ⅲは大学数学の入り口になっていることもあり,面白いところも多いのですが,一人で勉強するとどこが重要なのかがわかりにくいものです。
独学で何とか数Ⅲを克服したい!と思うのであれば,とりあえず大学入試をクリアーすることを目標として,効率の良い勉強をしましょう。
ということで,理転したなどの理由で数Ⅲを初めから独学しなければならなくなった人のためにこの記事を書きました。私,独学コーチ長宮慶次からアドバイスがあります。それは「教科書・問題集は順番にやるな!」ということです。その理由をお伝えしましょう。
数Ⅲを独学することが難しい理由
数Ⅲの教科書には,曖昧なところ,端折っているところがある
数Ⅲは内容によって章が分かれています。教科書会社によって多少違うでしょうが,大まかには以下のような章立てになっています。
- 複素数平面
- 2次曲線
- 関数(分数関数・無理関数など)
- 極限
- 微分法
- 微分法の応用
- 積分法
- 積分法の応用
もちろんこれは文部科学省の指導要領にのっとって作られたものであり,これはこれでちゃんと意味があるものになっています。
しかし,これを独学で学んでいくのはなかなか難しいです。
というのも,教科書を読んでもしっくりこないところが所々にあるのです。
その理由には,例えば以下のようなものがあります。
- 無限大などという(人によっては)漠然としたものを扱っている
- (x~)が(3)に「近づく」など(よく考えると)曖昧な言葉が使われている
- 言い回しが回りくどく,頭に入ってこない
・・・などです。これらは厳密に理解しようとすると大学数学の内容に踏み込んでしまいます。高校で学ぶ数Ⅲは(言葉は悪いのですが)ごまかしているところがたくさんあるのです。
だから,生徒が疑問をもったとしても「その疑問は大学で勉強することで解消してね。とりあえず今はそういうもんだと思って先に進みましょう!」と指導するところも多いのです。
もちろん,一人で初めて数Ⅲを勉強する人に,そんなことわかるわけがありません。ですから,数Ⅲを独学で学ぶのはなかなか難しいのです。
出題される問題のタイプに偏りがある
また,私が「教科書・問題集は順番にやるな!」と主張するもう一つの理由は,大学入試で出題されるところに偏りがあると感じているからです。
例えば,理系の大学では数Ⅲが必須の出題範囲になっています。その数Ⅲの問題,先ほど挙げたどの章から出題されるでしょうか。
もちろん,いろいろな章から出題されるのですが,まず間違いなく言えることは,どの大学であろうと「積分」は出題されるだろう、ということです。
「複素数平面」を出題しない大学はあると思います。「極限」を出題しない大学もあると思います。
でも「積分」を出題しない大学は極端に少ないでしょう。
だとすれば,まず「積分」の定番問題を解けるようにすることが優先されていいと思うのです。
私は仕事柄,理転した人に一から数Ⅲを教えなければならないケースがあります。その場合,まずは積分ができるようになることを目標として指導します。そして,生徒の進み具合によって徐々に勉強する範囲を広げていきます。その方が,余計な疑問を持つことが少なく,効率よく点数をとれるようになるからです。
数Ⅲはこの順番で勉強しよう
そんなこと聞くと,どんな順番で勉強すればいいのか,知りたくなるっス!教えてください!
ははは。そうだよね。知りたいよね。実際には,生徒の興味などを見ながら多少調整していくのだけれど,大まかな順序は以下の通りかな。
- 微分の計算
- 接線の方程式
- 積分の計算
- 面積と体積の計算
- 極限
- 分数関数・無理関数など
- 微分法の応用
- 積分法の応用
- 2次曲線
あれ?複素数平面がないっスよ?
そう。複素数平面は数Ⅲの中でも独立しているといっていい。だから順番は関係なく,いつ始めてもいいんだ。私は,複素数平面とそれ以外の数Ⅲを同時にやらせることが多いけどね。
ふうん。じゃあ,複素数平面は別のものとして勉強して,それ以外のところはこの順番の通りにやればいいんだね。
まあそうだ。実際には,4まではだいたい決まってるけど5以降はその生徒次第で変えている。どちらかというと5以降は必要になった時に勉強している感じだな。だから,順番にやっているというより並行してやってるといっていい。
なるほどねー。ただ闇雲にはじめからやるより,この順番を参考にしてやった方がいいんスね。
極限なんかは,よく考えると難しいんだよ。ごまかしているところも多いしね。でも実際に入試で出題される極限は,無限和を求めるだけ,など単なる計算問題であることも多いんだ。だから,あまり細かいところに拘泥せず,出るところからやった方が効率的なんだ。
よおし。JKに教えてもらったとおりに,俺も数Ⅲ頑張るっス!
あれ?シンジ君は理系クラスだったし,数Ⅲは授業で習ったんじゃないの?
へへへ。そうっスけど,数Ⅲはあまりよくわからなかったので,睡眠の時間だったんスよ。だから理転した人と同じ。頑張るっス!
(うーん。よく決心した!と褒めるところなのだろうか?それともちゃんと授業を聞きましょう!と怒るべきところなのか・・・そもそも睡眠時間だったのは数Ⅲだけなのか?聞くのが怖い・・・。)
今日の格言・名言
- 数Ⅲは教科書通りに進めるな!出るところから攻めよう!
- 理転したって大丈夫!数Ⅲはやり方次第で独学でもマスターできる!
- 授業を受けている人は,眠らずにちゃんと聞きましょう!