【数B】ベクトルが苦手なあなたが見落としている”ベクトルのツボ”(1)

高校数学のツボ

 

高校の数学を勉強していて、「ベクトルは苦手だ!」という人は多いと思います。

そんな人に話を聞くと、次のような意見が多いようです。

  • 全然わからないわけではないが、何をしているのかわからない。
  • 公式は知ってるけど,入試問題は解けない。
  • 問題を解いても,解説を読んでも,何だかモヤモヤして,次に解ける自信がない。
  • 解法がものすごくたくさんあるように思え,やってもやってもキリがない気がする。

そんな人達は、ベクトルを初めて習ったときから、重大なことを見落としているのです。

そのことに気づけば、いくらやっても理解不能だったベクトルについて、「あれ?いつのまにか解けるようになってる!」とか「もしかしてベクトルって簡単?」という感想を持つようになります。

あなたが見落としていたことを明らかにしていきましょう。

この記事が役に立つ人
  • 勉強してもベクトルがなかなか解けるようにならない人
  • ちょうどベクトルを習い始めた人

苦手なベクトルを克服するためには3つのツボがある

シンジ君は高校2年生。独学サポートコーチ長宮慶次に勉強を見てもらっています。でもあまり勉強は得意ではないようです。得意なのはスポーツで、ラグビー部に所属しています。言葉遣いが、ちょっと変です。

長宮慶次
長宮慶次

今日はベクトルのお話です。シンジ君、もう高校でベクトルは習ったよね?

シンジ
シンジ

ベクトルっすか。習いましたよ。たしか、人の名前ですよね?アラン・ベクトール、みたいな。

長宮慶次
長宮慶次

いやいや人の名前じゃないよ。ちゃんと学校の授業を聞きなさい。 ベクトルとは、向きと大きさをもったものです。

 

シンジ
シンジ

ははは、冗談っすよ。知ってますよ、矢印でしょう?

長宮慶次
長宮慶次

うーん、まあ初めはその理解でいいだろう。 矢印の長さが、そのベクトルの大きさを表していることを忘れないように。

シンジ
シンジ

うっす。 でも正直、苦手なんすよね。

長宮慶次
長宮慶次

そういう生徒は多いようだね。もう少し詳しく聞きたいのだけど、ベクトルを勉強していてどう感じている?どういうところが苦手なの?

シンジ
シンジ

えーと、公式とかは一応勉強したんすよ。で教科書の確認問題は解けますけどね、いまいちピンとこないんすよね。意味はよくわかんないし。それに少し難しい問題になると、何をすればいいのかわかんないんすよ。答えと解説を見れば、まあ書いてあるとおりにすればいいのはわかるんっすけど、自分でできるかって言われたら、・・・とても解ける自信はないっす!(キリッ)

長宮慶次
長宮慶次

いやそんな堂々と言われても・・・。わかりました。ではベクトルが得意になるための3つのツボを解説していきましょう。

シンジ
シンジ

3つ?そんなに少ないんっすか?それでベクトルが得意になるんなら、俺、頑張るっす!

“ベクトルの世界”に気付いているか

これまで学んだのは「数の世界」と「図形の世界」

長宮慶次
長宮慶次

これまで小学校で算数を学び、中学・高校と数学を学んできたよね? 君はそこで何を学んできた?

シンジ
シンジ

何を?いや算数・数学ですから・・・足し算とか掛け算とか。中学くらいになったら連立方程式とかっすね・・・。

長宮慶次
長宮慶次

それは数と計算について学んできたと言っていいだろう。整数から始まって小数・分数・無理数などと学んだ数はどんどん増えて、その計算法もたくさん学んでいるよね。これらをひとくくりにして「数の世界」と呼ぼう。 ではそれ以外に数学で学んだことは何かな?

シンジ
シンジ

他にありましたっけ?えーと・・・あ、三角形とか円とか・・・図形っすか?

長宮慶次
長宮慶次

そうだね、図形についても学んできたよね。正三角形とは、平行四辺形とは、など図形の性質を勉強したはずだ。面積や長さを求めるために、一部で数の計算をしているが、基本的には数の世界とは別の世界だと言っていいだろう。これは「図形の世界」と呼ぼう。 すると,小中高と算数・数学を通じて「数・計算の世界」と「図形の世界」を学んで来たことになる。・・・さて、ベクトルはどちらに入る?

「ベクトルの世界」の存在

シンジ
シンジ

ベクトルっすか?図形じゃないっすかね。三角形とか四面体とかよく出てくるし。 あ、でもベクトルの足し算とかもやってるような・・・でも数ではないし・・・?。どっちだ?

長宮慶次
長宮慶次

実は・・・・・どっちでもありません。 ベクトルは「ベクトルの世界」としてこうなっている、と思って下さい。※

 

シンジ
シンジ

ずりー。ひっかけっすか。

長宮慶次
長宮慶次

ははは、引っ掛けたわけではないけれど、ちょっと意地悪だったかもしれないね。 ただ、見てわかるとおり、「数の世界」と「図形の世界」を繋ぐものとして、「ベクトルの世界」が別にあると思って下さい。 さて、このように,「数の世界」と「図形の世界」を繋ぐように「ベクトルの世界」が存在するとしたならば,ベクトルの役割が見えてきます。

シンジ
シンジ

ベクトルの役割?・・・全くわかりません。

図形の問題をベクトルで解く

長宮慶次
長宮慶次

小学生の時、こんな経験はないかい? 図形の問題が難しくって、どうやっても解けない。でも塾の先生が解説するとき「ここに補助線を引きます」と言われたとたん、ああそれか!って。それさえ思いつけば解けるのだけど、自分には思いつけないよ~とか。

シンジ
シンジ

ありますあります。 補助線って何だかずりーって思うんすよね。問題に初めから書いとけっつーの 。

長宮慶次
長宮慶次

ははは。それじゃあ問題にならないよ。 でも確かに、補助線を思いつかなければ解けないような問題って、解けるとスカッとするけど、解けないとモヤモヤしてしまうよね・・・。 そこで登場するのがベクトルです。 ベクトルを使えば,図形の問題を,まるで数のように計算をして解くことが出来ます。図形の特徴をベクトルの式にしてしまえば,あとは機械的に計算していけば,答えが求められるのです。そこには,補助線のような思いつきに頼る必要はありません。式を立て,機械的に計算するだけでいいのです。すごいでしょう?ベクトルは図形の問題を計算で解く,とても便利な道具なのです。

シンジ
シンジ

へえ。考えたことなかったっす。そうかあ。ベクトルは道具なんすね。図形の問題を計算で解く、かあ。だとしたら,解けないのは「式を立てられない」のか、「計算ができない」のか、どちらかってことっすね?

長宮慶次
長宮慶次

その通り!シンジ君、冴えてるねえ。

シンジ
シンジ

いやあ、そう言われると恥ずかしいっすねえ。

自分がどこでつまずいているのかがわかる

ベクトルが苦手な人は、自分がどこで躓いているのかわからないものです。そして何をどうすれば解けるようになるのかも、わかっていないようです。

しかし、「ベクトルの世界」があることを認識し、ベクトルが図形の問題を計算して解いていることに気づくことが、ベクトルを理解するための第一歩となります。そして自分がつまずいているところが

  • 問題文から式を立てるところなのか
  • 式を計算していく過程なのか

を考えてみましょう。自ずと勉強すべきところがはっきりしてくることでしょう。

シンジ
シンジ

そうかあ。自分がわからなかったところが、少しスッキリしてきたッス。モヤモヤが晴れてきた感じがするッス。・・・でも、何で「ベクトルの世界」って呼ぶんすか?世界って、ちょっと大げさな気がするんすけど。

長宮慶次
長宮慶次

おっ、いいところに気がついたねえ。そう、ベクトルの世界の存在に気がつくことが大切なのだが、”世界”と呼んだことには大切な意味があるんだ。それはね・・・ちょっと文章が長くなったので続きは次の記事でね。

シンジ
シンジ

おあずけッスかあ!3つのツボとか言って、まだ1つしか言ってないじゃないスか!

この記事のまとめ

  • 「数の世界」と「図形の世界」を繋ぐものとして「ベクトルの世界」がある。
  • 図形の問題を、ベクトルを用いて計算して解くことができる
  • つまずいているとこは、「式を立てるところ」なのか「計算するところ」なのかを見直す
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